柳家小三治さんを偲ぶ
先日柳家小三治さんが亡くなられたとのこと。非常に残念である。
とても好きな落語家さんの一人だ。
以前ブログに書いたラジオに入り浸っていた学生時代に小三治の落語を聴いていてファンになった。あの当時が一番脂が乗り切っていた時期でリアルタイムで聴けたのは幸せであった。
見た目は目がぎょろっとして痩せていて体つきは少し筋張っていて不貞腐れたような顔してると一見怖いように思うが話し方や所作は非常に穏やかで、特に枕の話し方はとてもほんわかしていて優しい。
またその枕が趣味の切手収集のことなどを題材にしたりと独特なものが多かった。
手紙に貼られた切手を水で剥がして乾かしてたらどっか飛んでっちゃってそれを「どこいったかな〜?」と探すのも切手趣味、
なんて人を喰ったような内容だが聴いていると客席全体もフワ〜っとした雰囲気に飲み込まれていって優しい笑いに包まれる。
演目も子供にも分かりやすいような滑稽噺が得意で「時そば」「初天神」なんてド定番のものも好んで演られていたようだ。
また「野ざらし」での湯屋番で番台に上がった若旦那が妄想全開でひとり盛り上がっていくところのテンションの異常な高さや「道具屋」での与太郎のとことんまでボケ倒すところもとても心地よく、やり方によってはただのお間抜け、変わり者になってしまうところを小三治が演じるととても愛おしくかわいく感じらキャラの気持ちに共感してしまう。キャラに対する深い愛情を感じる芸だった。
ずっとふんわりするだけかと思うとさにあらず、「大工調べ」では大工の棟梁が大家に取られた与太郎の大工道具を取り返すために啖呵を切る場面があるが、これがまたとてもキレがあって小気味いい。江戸っ子のべんらんめえ調がここち良かったな〜。
その当時あんまり気に入ったので大学の入学祝いで親戚とかからもらったお金を全て注ぎ込んで(貰った方には大変申し訳ないが)落語のカセットテープを買い込み大学入学までの間は繰り返しずっと聴いてた。(その後大学時代もちょこちょこ聴いてた)
まだテープはどこかにあるはずなので、これまたどこかにあるカセットデッキと一緒に家を掘り返してじっくり聴き直してみようっと。
マスク
前回秋の気配でセミも店じまいかと書き綴ったが、10月とは思えない暑さが続く。(もう勘弁して)「まだまだ終わらんぞ〜」とツクツク法師ががんばってるなあ(と思ったが今日はさすがにいないか?)
第100代の首相が誕生したかとおもえば今月末に衆院選だそうでなんだか慌ただしい。そんなことでコロナ感染は大丈夫なのかと新規感染者の推移を見るとワクチン接種のため??なのか順調に減少し、10/1にはなんと国内の緊急事態宣言がすべて解除された!
このことは素直に嬉しい。ほんと久しぶりな感じ。当院も頑張って9/24より分娩立ち会いを再開しました。
これが何回目の再開になるか忘れたが、分娩再開と聞いて皆さん喜ばれるとこちらも嬉しい。もちろん引き続き感染対策はしっかりしていきますね。
また第6波は来ると言われているのでコロナ前の状態にすぐ戻るとはいかないが、せめて冷え切った心と身体に暖かさがジワーっと染み渡るまでの時間は欲しいな。
そんな感染対策においてずっと第一線で活躍しているのは
ーーーー マスクである。
以前から冬の診療中はインフルエンザ予防などのこともありずっとマスクはしてたのだが、まさかこんなに何年も四六時中人前でマスクする生活をするなんて思わなかった。
ただ暑さ最高潮の真夏に外のマスクはかなり大変だったからやっと秋になって少しましになったかな。(汗でぐしょぐしょのマスクはかなりやばい)
これから秋冬は大丈夫だが来年春以降にマスクが外せるかどうかは、、、怪しいな
しかし慣れるもんだ。今となってはずっとつけることに違和感はないし、みんながマスクをつけている光景も見慣れてしまった。
ここまで日常的にマスク着用するとなるとおしゃれな人達はファッションの一部と位置づけ、さまざまな創意工夫を凝らしていてかっこいい。自分も真似したいが服に合わせてコーディネートなんてことができるはずもなく(ファッションセンスゼロ)、とにかく悩まない白の不織布マスクで年中通す様に決めている。(ポリシーがあるわけではない)
マスク社会が通年となってもう一つ困ること
患者さんの顔が覚えにくい。
お産される患者さんとは妊娠から出産までで一区切りとなるため、内科のようにかかりつけの病院として患者さんを何年も定期的に診ていくことがない。(2人目、3人目のお産で間を開けて診させてもらうことはある)新型コロナ以降もうすでに2年近く経とうとする今では初産で当院を初診され分娩までずっとマスクをつけたまま、ということも結構おられる。
(お産の時外す場面もあるがバタバタしてるし,酸素マスクとかしてると見られない)
そうすると実は唯一お顔を拝見できるタイミングが退院時だったりする。
退院時にみんなで写真を一緒に撮るのだがそのとき「記念ですからマスク外しましょうか」ということでマスクを外す。(化粧していないのではずしませんという方もおられるが・・・)
そしてフッと顔を見た瞬間「おっ」という感じになることがある。初対面とも違う何か不思議な感じ。これまでお顔の上半分と声だけで作り上げてきた患者さんのイメージがマスクを外すと違っていることがあるのだ。ヒトはマスクで見えない部分を無意識に想像で補完するらしい。
これは患者さんも同じ事で僕もその時マスクを外すと今アゴ髭を伸ばしているせいか僕の下半分の顔のイメージが違っていたのか患者さんも「おっ」となる。
状況はちょっと違うが妊娠中に超音波の写真を夫婦で見ながら「誰に似とるんかねえ〜」なんて話していて産まれた赤ちゃんの実物に初対面して「お〜、こんな顔しとったか」という感じか。
赤ちゃんはまたしばらく経つとどんどん顔が変わっていくし、その成長,変化がまた楽しい。
人と接する機会がかなり減ってきたコロナ禍の時代、だからこそ新たに出会うときの感動?うれしい気持ちは増えた気がする。
こういう事色々考えるとふんわり楽しい。